自己肯定感の育み方

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多くの親は、子ども自身が「やりたいこと」を見つけ、その実現に向かって努力する人生を送ってほしいと願うでしょう。そのような歩み方をするために重要な要素の一つが「自己肯定感」であり、子育ての中でできるだけ高めていきたいものです。私も子を持つ親の一人ですので、今回はこれまで以上に、自分の備忘録として、 自己肯定感の育み方 をまとめます。

自己肯定感の形成

過去の非常に辛い体験や自尊心を繰り返し傷つけられた経験が原因で、自己肯定感を持てないという人が少なくありません。自己肯定感の高さは、持って生まれた性格というより育った環境、つまり親(養育者)との関係(愛着)に左右されます。しかし、常に親が先回りをして、子どもにやるべきことを指示していくような環境では、子どもは受け身になり、自分の意志を持つことが難しいでしょう。一般的に自己肯定感は、0〜3歳で土台が築かれ、思春期までの経験で修飾され、形成されます。

自己肯定感が重要な理由

自己肯定感が低い子どもは、成功よりも失敗した体験を強く意識し、自分を否定的に捉える傾向にあると言われています。自らの感情がコントロールできず情緒不安定で、自分や他人を信頼することができないため、協調性がなく、あきらめやすいことが特徴として挙げられます。

一方、自己肯定感が高い子どもは、人と積極的に関わり、他者や環境を受け入れ、良好な人間関係を築ける傾向があります。また、自分のことを大切に思い、周囲からも大事にされていると感じているため、失敗よりも成功を強く意識して前向きにチャレンジしたり、壁にぶつかっても立ち向かっていくことができます。そして様々な経験を通じて、自分が好きなこと、自分が得意なことが少しずつわかるようになり、自分のやりたいことが見えてきます。その結果、目標に向かってチャレンジし、思う結果が出なくても試行錯誤して再チャレンジするという、幸せを手繰り寄せるサイクルに近づいていきます。自己肯定感を高まることで、子どもは将来に希望を抱くことができ、自分で目標を定めて、自分で人生を切り拓いていける、つまり自立が促されます。

自己肯定感の育み方

親子が一緒に行動する

じっくり親子が向き合うことで、子どもは安全地帯で過ごすことができ、親は子どもが好きなことや得意なことに気づくことができます。子どものやりたいことや自信を引き出していきましょう。ただ、子どもが一人でなにかに集中して遊んでいる間は、その邪魔をせず、そっと見守る姿勢も大事だと思います。

絵本を読む

親のひざの上で絵本を楽しむ間、子どもは親の愛情を感じて安心感や幸福感で満たされます。読んだ後には「どこが面白かった?」「ここはどんな気持ちになった?」と聞いて、子どものアウトプットを促し、「どうして?」「これはなに?」と聞かれたら、一緒に考えたり調べたりしましょう。登場人物の気持ちを思いやったり、絵本の中の出来事に一喜一憂したり、深く考えたりするなど、様々な感情や体験を味わって、知的好奇心、感性、語彙力、想像力が磨かれ、子どもの自信が深まっていきます。親の接し方として、絵本の中の世界を否定せず、あくまでも子ども目線に立ち、そういう世界があることを子どもと共有することが大切だと思います。

会話する

どんなことでもたくさん話をしましょう。子どもは、自分の知っている言葉で自分の考えや気持ちを伝えることで、どんどん自己表現力を増していきます。子どもが話している時は、途中で遮ったり否定をせず、しっかり耳を傾けます。「自分が言うことを聞いてくれる」「自分の考えをわかってくれる」という安心感が深まり、子どもの表現から感じたことを親がフィードバックしてあげると、会話がより弾み、認めてもらえたという子どもの自己肯定感につながります。

お手伝いをしてもらう

家事を一緒にすることも自己肯定感を高めます。洗濯物をたたむ、食器を片付ける、拭き掃除をするといった家事を一緒にやることで、「自分が関わることで何かが良くなる、嬉しい」という感情が芽生えます。「手伝ってくれて、ありがとう」という親からのメッセージは、子どもの心により深く響くでしょう。

寄り添う

コーチに徹する

子どもが「したい行動」を大切にして、親は見守る『コーチ』としての役割に徹することが望ましいです。大人が思い描く「いい子」の価値観に従わせようとすると、子どもの主体性が次第に損なわれていきます。たとえば子ども同士のトラブルは、子どもたちにとって課題解決能力を養う機会となるため、親がその機会を奪わないことも大切です。過剰なサポートはせず、子どもの気持ちを聞いて、仲直りに向けたアイデアやアクションを待つスタイルです。子どもができる範囲で、自分でやる経験を積み、自分でできることを増やすことが、子どもの自信に繋がり、主体性を高めていきます。

無理に矯正しない

長所だけ、短所だけという子どもはいません。子どもの個性を長所と短所に選別するのではなく、違いがあるだけと捉え、その個性が役に立つ場面をゆっくり一緒に探しましょう。他者から見れば好ましくない行動も、その子にとっては理由があってやっていることがあります。行動を真っ向から否定せず、まずは行動した理由を子どもに聞いて、好ましい部分についてはしっかり評価してあげたいものです。

褒める

結果ではなく、プロセスを褒める言葉をかけてあげましょう。たとえば、子どものテストの結果が良かった場合、テストの点数だけに着目するのではなく、「よく勉強していたからだね」とプロセスに着目した声かけが望ましいと思います。また、子どもを評価するときには、「他の子」とではなく「以前のその子」と比べるのが良いと思います。誕生日や年度の変わり目などの節目で、子どもを一年前と比べてみると、その子のさまざまな成長に気づけます。「字が上手に書けるようになったね」などと伝えて、成長の振り返りを促しましょう。

まとめ : 自己肯定感の育み方

親が子どもの人生の責任を負いすぎる必要はありません。「自分は自分、子どもは子ども」という姿勢でいることが、子どもの自立を促すことになります。高い自己肯定感があれば、「受験」「就職」「パートナー探し」といった荒波や、予測のつかない世の中の変化にも柔軟に対応し、強くしなやかに生きていくことができるでしょう。親の大きな仕事の一つは、そういう一生ものの財産を、子どもに残してあげることなのかなと思います。

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