LINEやFacebookなどのSNSには、遠くの人と時間や距離を気にせず連絡が取れたり、会ったことのない人を身近な存在に感じられたりと、メリットがたくさんあります。一方で、評価されるために頑張って投稿したり、自分と他者との生活を比較してしまうことに疲れたという人も少なくないと思います。今回は上手な SNSとの付き合い方 について考えたいと思います。
SNSの特徴
SNSの普及は、同じ趣味を持つ人たちとの交友関係を広げたり、わざわざ検索しなくても欲しい情報が流れてきたり、伝えたい人達だけにイベントを告知したりなど、私たちの暮らし利便性やビジネスの可能性を大きく広げました。
一方でSNSは、ネット依存、情報の正確性、悪質業者によるトラブル、誹謗中傷、個人情報の問題など、負の側面が数多く指摘されています。特に心の健康に関しては、SNSを起因とするうつ病の発症、いじめや自殺のような痛ましい事件などは、一向に減る気配がありません。
SNSの弊害
スマホユーザーが増え、SNS疲れを感じている人は非常に多いでしょう。SNSに関する調査で『SNS疲れの経験がある』と答えたのは、全体の42.7%。もっとも高かったのは20代の女性で、なんと65.0%にも及んでいました。このSNS疲れはそのまま放置していると、うつ秒などの精神疾患の原因にもなるので看過できません。
時間の浪費
総務省が2020年に実施した調査によると、SNSの利用時間は2012年から2018年までの7年間で4倍まで増加しています。SNSはダラダラ見られるように作ってあるので、目的もなく何時間も見続けたり、投稿に対する反応待っていたりと、無駄な時間を過ごしてしまうことがあります。イギリスの研究では、SNSがアルコールやタバコよりも依存度が高い可能性があるとも指摘しており、SNSの長時間利用は、心の健康に大きな影響を及ぼします。
フェイクニュース
どのようなメディアでも間違った情報が流れる可能性がありますが、特にSNSの場合、誰もが簡単に情報発信でき、かつ発信者が支持する情報を好んで伝える傾向があることから、正しくない情報や騒ぎを起こすためのデマなど、フェイクニュースも散見されます。多くのフェイクニュースは、人々の怒りや正義感といった感情をあおる内容になっているため、それを見た人は平常心を忘れてしまうことがあるのです。
違法行為
SNS上に悪質業者が、「お得」「儲かる」の広告を出して、儲け話を持ち掛けたり、投資グループに誘ってくる場合があります。特に気をつけなければならないのは、今回の持続化給付金の不正受給問題のように「普通の儲け話」に見せかけて、違法行為を教えるケースです。SNSの勧誘では被害者になるだけでなく、無意識のうちに加害者にもなってしまうこともあり、どちらの場合でもメンタルヘルスに大きなダメージを受けてしまいます。
誹謗中傷
SNSの場では、「誹謗中傷」「罵り合い」のような攻撃的でネガティブな言葉を見かけることがあります。SNSは一般的に匿名性が高く、実名のときよりも気持ちが大きくなり、普段の自分はしないような過激で無礼な発言もしやすくなります。誹謗中傷のコメントはだれでも見られるオープンな場合もあれば、個人間のクローズドな場合もあります。そのような言葉が自分に向けられた時はもちろん、他者に向けられた場合でも、気づかないうちに強いストレスを受けてしまいます。
精神疾患の発症
ピッツバーグ大学医学部の研究の結果、SNSの利用頻度が高ければ高いほど、うつ病になりやすいことが分かりました。人は他者との比較の中で自分というものを把握する傾向があります。
自分に自信がある時は自分より優れた人と比較しますが、自信がない時は自分より劣った人と比較して自信を回復しようとする心理が働くのでしょう。無意識のうちに比較対象を変えるのですが、自分に自信がない状態で、友人の充実ぶりを目にすると、歪んだ認識やうらやむ気持ちが起こり、自己肯定感が低下します。その結果メンタル不調が出現し、エスカレートして、うつ病に至るだと考えられます。
弊害への対応策
SNSで他者に評価されるために背伸びした投稿をしたり、他者の充実した生活を見てうらやんだり、グループや話題に入るか入らないかで悩んだりと、楽しいはずのSNSがいつの間にか疲れてしまうと感じたら、以下のことを実践してみましょう。
ファクトチェック
目にした情報を鵜呑みにせず、正確性が判断できない場合には安易に情報を投稿・拡散しないことが大切です。情報の出どころを確かめたり、「事実」と「意見」の違いを見極めたり、ほかのメディアの情報と見比べたり、情報発信の時期についても確認することが重要だと思います。
利用を制限する
例えば「5分以内にLINEの既読がつかないと不安になる」というような人は、SNS依存の状態にあるかもしれません。「SNSを毎日利用している人が1週間利用を控えた」「SNSの毎日長時間利用している人が1日30分に制限した」だけで、気分の落ち込みや孤独感が減りメンタルヘルスが改善されるという研究の報告が複数あがっています。SNS疲れの人は、通知をオフにしたり、利用時間を制限してみましょう。
数を見ない
自分のフォロワー数や投稿へのいいねの数は、あなたの存在価値を決めるものではありません。数字が自己への評価としてプレッシャーに感じてしまうなら、数字を他者と比較しないため、フォロワー数をチェックせず、いいねの数は非表示にしてしまいましょう。
リアルで言えないことは書かない
SNSは開かれた世界であり、多くの人の目にとまります。ネガティブな内容を発信すると、受け手は(内容に対してではなく)発信者に対してネガティブな感情を抱きやすく、批判も来やすいので、リアルでは言えないことは書かないことをおすすめします。
スルーする
気をつけていても誹謗中傷されることがあるかもしれません。誹謗中傷する人は、『ネガティブな承認欲求』を抱えている人が多いので、反応すると喜んでしまい、行動がエスカレートすることもあります。ブロックやミュートを活用も視野に、スルーが正解と言えるでしょう。
相談する
誹謗中傷対策として、国や専門家、サポート団体などによる相談窓口も多く設立されているので、専門家に相談してどのような対処方法があるのか指示を仰ぐと良いと思います。また、公開されている誹謗中傷は管理者に削除要請したり、身の危険を感じるような投稿は警察に相談することも、場合によっては必要です。
またSNS疲れによるストレスは、続くほどうつ病発症のリスクを高めます。また、自分に対するメッセージやリツイートによってひどく傷つき、不眠や気持ちの落ち込みが1〜2週間以上続く場合は、適応障害やうつ病を発症している可能性もあります。できるだけ早めに医療機関に相談しましょう。
まとめ:SNSとの付き合い方
SNSは、あくまで「道具」です。上手に使えば、コミュニケーションを深めることができる一方で、使いすぎたり、使い方を間違えると、SNSに振り回され、人間関係を悪化させたり、幸福度を低下させます。それを避けるために、あくまでも「リアル」を重視し、SNSは補助的に使うことが大事だと思います。
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